あべのハルカス美術館の「ラファエル前派の軌跡展」へ、11月8日(金)に行ってきました、その感想です。
正直ラスキンは詳しく知らなかったのですが、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーやジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティなど沢山の画家の作品を150点以上見ることができました。
音声ガイドとは別に、単眼鏡を500円でレンタルできるということだったのでそちらもお借りしたのですが、なかなか単眼鏡の取り扱いは難しかったです……。
ジョン・ラスキン(イギリスの美術評論家)の生誕200年を記念した展覧会なので、ラスキンを主軸に「ラファエル前派」の誕生から共同作業、交友、その展開へと至る流れを見ていく展示です。
ジョン・ラスキン(John Ruskin, 1819年2月8日 – 1900年1月20日)は、19世紀イギリス・ヴィクトリア時代を代表する評論家・美術評論家である。同時に芸術家のパトロンであり、設計製図や水彩画をこなし、社会思想家であり、篤志家であった。ターナーやラファエル前派と交友を持ち、『近代画家論』を著した。また、中世のゴシック美術を賛美する『建築の七燈』『ヴェニスの石』などを執筆した。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なので例えばターナーは展示最序盤の5点しか多分なかったですし、展示の多くにラスキンの素描などを含めての152点です。
写真撮影可能ゾーンは思ったより小スペースでしたが、前回見に行った『くまのプーさん』のような展示ではないので、それほど写真を撮っている人も多くはなかったです。
私が不勉強なだけですが、人物相関図にも載ってない&音声ガイドでも触れられない人の絵もちょこちょこあるので、ふわっと見てしまう作品もちらほら……(冊子を購入するか調べればいいんですけれどね)。
ただ、展示数が150点を超えているので、ひとつ1分計算でも2時間超えます。
相関図自体は展覧会の詳細ページの目録から見ることもできますので是非。
人物はふわっと発光しているようなタッチなのですが、布の柔らかい表現と絨毯の質感の表現がとにかく凄い。
女の子がとにかく可愛い。
砂浜と空が混じり合うラインがとても綺麗で、空気を感じる。
夕暮れ時に、赤と黒く空が染まり始めた頃合いになんとなく理由もなく写真を撮りたくなる気持ちと同じ気持ちを感じる。
暖炉の光が少女の服に写り込んでる様子が本当にあたたかそうで、子供らしい頬の赤みが印象的な寝顔が本当に可愛い。
今展覧会の顔。
そもそもラファエル前派という同盟は「ロイヤル・アカデミー美術学校がラファエル・サンティの絵画に固執し、それ以外の新しい表現を認めない方針に不満を抱いていたロセッティ、ホルマン・ハント、ミレイを中心に結成」されたものなので、キリストより以前のギリシア神話の記憶の女神をモチーフにしているからラファエル前派の象徴として今展覧会の顔に選ばれたのか……とも思ったのですが、なぜ三菱一号館美術館での「ラファエル前派の軌跡」展では展示されていた『魔性のヴィーナス』ではなかったのでしょう?
しかもこの女神の音声ガイドはありませんでした。
その隣の『シビュラ・パルミフェラ』は音声ガイドはあるし、上階のカフェのラテアートにもなっていました……。
単眼鏡は本当に使い所がよく分かりませんでした……。
首から下げなければならないんですが、音声ガイドもぶら下げているので歩くとカツッと接触するのが気になったり、しょうがないことなんだとは思うのですが、レンタルする際に免許証を提示したり、細かいところがなんとなく気になりました。
書き込みがありそうな所などを見るために使ったりはしたのですが、音声ガイドと同じくパネルで「ここを見てみて!」みたいな表示があっても良いのかな、と思ったり。
それから音声ガイドの佐藤拓也さん。
どこかでこのセリフ臭い声を聞いたことがあるなぁ……と思っていたら燭台切光忠さんでしたか……。
個人的には今回のテーマの雰囲気はもっとナレーションっぽいガイドさんのほうが良かったかも、と感じました。
ラスキンの芸術思想を私なりにまとめると、(ラファエルの)技巧に囚われすぎていた当時の風潮に、「芸術の根本は自然観察にあり、自然をあるがままに書くことの重要性」を訴えていたと解釈しました。
その考えがアカデミーのラファエル絵画への固執に対する不満とちょっと相性が良かったのかも。
結成初期の方は親近感や人間味を感じるものが多かったりするのですが、徐々に色々な人が入り交じることでか、コンセプトのズレが絵達にも現れてきて、ラファエル前派が長続きせず解散した理由もなんとなくそこから推し量ることができます。
ラスキンを主軸とした展覧会なので、ひとりの画家の絵をじっくり見る展示とは違い、「この人好みだなー」とか「この人は写実的……?」などどちらかというとかるーく見ていくほうが楽しい展覧会かもしれません。
ウィリアムモリスも実は楽しみにしていたのですが、ただ展示されただけ感が……第2世代だししょうがないのかな……。
建築装飾の(人体のパースなどの)様式に囚われない自由な表現を良しとしたラスキンと、工業化が進む中で「職人の手仕事技術の重要性」を見直すウィリアム・モリスは相性が良かったのかなーと思いながら、A5のクリアファイルを買って満足しました。
会期:2019.4.27 sat – 6.30 sun
主催:あべのハルカス美術館、産経新聞社、関西テレビ放送
料金:1,500円+音声ガイド520円+単眼鏡500円