セキュリティ、デザイン、コーディングの外注……グラフィックデザイナー向けWebサイト制作のNote

BLOG / 2022.09.05

クライアントさんから“Webサイトも”とご依頼いただいて……と普段印刷物をメインにお仕事をされているデザイナーさんからお話をお伺いすることがあります。

メイン業務以外のお声がけをいただくというのは、そのデザイナーさんがクライアントさんから本当に頼りにされている存在なのだな、すてきなことだな、と感じます。
しかし“デザイン以外の部分はすべて外注”とお話を伺うと、少し心配をしてしまうのが私の本心です。

その“心配だな”と感じている部分を、その場でお話をすることはなかなか難しいので……。大きく分けて3つ、テキストとして書き出してみました。

※なおこの記事はグラフィックデザイナーさんを対象としておりますので、一般的に通じやすいと考える単語にて進めます。マルウェアではなくウィルスと記載する等です。

なにかが起きる前にセキュリティ対策を

デザインより何よりもまず“セキュリティ対策の意識”について不安を感じることがあります。

  • サーバー内にページが大量生成され、ウィルス配布の母体となる
  • まったく関係のないスパムサイトにリダイレクトされる
  • 管理者権限をもつユーザーがいつの間にか追加されていた
  • 何度も不正アクセスを繰り返され、ログイン画面に大量の不審なアクセスがある
  • コンタクトフォームを悪用され、外部に大量に迷惑メールが送信される(もしくは届く)

これらは実際に私が相談を受けたことがある事例です。

大量に、というのは数百の話ではありません。万の単位で行われます。
事業やWebサイトの規模の大小は関係なく、むしろ意識が低い小さなところが狙われ、母体となりやすい、と考えるよ良いかもしれません。

取り上げた5つ以外にも、全く気が付かないうちに“何か”が行われている可能性は十二分にあり、表面化した際は既に手遅れな場合も……。

その他にも予算を理由にメールサーバーを兼ねる既存サーバーにWebサイトを設置したところ、Webサイトに問題を抱え、サーバー会社からメールも止められた……、という事例をお伺いしたこともあります。
※正直なところ、この事例への疑問はかなりありますが参考として。
平日にメールを送ることも受け取ることもできないという事態は、クライアントさんの業務に支障をきたしたことと思います……。

どの事例も既にサーバーへの侵入を許してしまっているので、もし一般ユーザーさんの情報が保存されていた場合はさらに事態が深刻になっていたかもしれません。

そうなってしまうとクライアントさんとの信頼関係が崩れ去ってしまうだけでなく、クライアントさんの“お客さまからの評判”も落とすこととなり、昨今の厳しいSNS時代では会社そのものの存亡が危ぶまれる事態を引き起こしてしまう……かもしれません。

そのような事態を防ぐため、デザインのお話より以前にセキュリティ対策についてクライアントさんと“一緒に”考えていただきたいな、と感じています。

一例として、WordPressでの簡易なセキュリティ対策を取り上げると、プラグインによって不正なアクセスや不審なファイルの追加を検知することが可能です(逆にデフォルト設定では検知できません)。

検知ができるように設定したら、その通知を受信して内容を確認し、問題がないか、または早急な対策が必要かどうかを判断をする担当者を用意します。

セキュリティ対策は十分な対策を行ったとしても完璧にはなり得ないため、もしもの時についてもあらかじめお話ができるとさらに良さそうです。

……もし、“誰も担当することができない”のであれば、Webサイトの制作について一度立ち止まったほうが良いかもしれません。

昨今、SNSの普及に合わせ“Webサイトは簡単に作ることができる時代”となってきました。
ぜひ合わせて、セキュリティへの意識を高く持つことについてもスポットライトを当てていただきたいと考えています。

クライアントさんの“今”を止めない、更新が可能な仕組みづくりを

“まだ私のお客さまではない方”からいただくご相談の中で「更新ができない」といったお話は、新規制作のお話より残念ながら多いです。
多くはWordPressで制作されているのですが、お知らせ(ブログ)は投稿できるけれどそうではなく……といった内容です。

デザイン参考サイトやPinterestなどを見ても、ビジュアルが大きくモニターを広く活用するようなデザインが人気を博しています。
ですがそのサイトの多くは、WordPressの管理画面内からはお知らせ(ブログ)部分のみ触れる場合が多く見受けられるのが現状です。

もちろん、むちゃな更新でデザインが大きく崩れてしまう恐れを考えると制限することもひとつの手段です。
ですがWebサイトはフライヤーやチラシと違い、“あとで要素を適宜追加する”ということが可能であることがメリットなツールです。

Webサイトは、更新しなければ価値は下がる一方です。

ご依頼の内容はもちろん、運用方法を見据えた結果のデザインでなければ、更新頻度を上げることはなかなか難しいかもしれません。

忘れられがちですが、Webサイトはサブスクリプション方式です。
毎月の固定費用がかかるため、同じ見た目を保ち続けることがそのクライアントさんにとって最適なのか……今ではなく5年先も想定しつつデザインを進めてみてほしいと感じています。

  • テレビ出演やバズった商品のお知らせを掲載したい時
  • 臨時のお知らせをとにかく大きく、急いで掲載したい時
  • 新規の商品が完成した時のプロモーション

クライアントさんが“今”掲載したい!と思ったことを掲載できるような、できる限りを想定したデザインを行いたいと私は常々考えています。

外注はお互いの仕事へのリスペクトを忘れずに

コーダーさんとのやりとりが本当に大変で……というお話も良くお伺いします。

  • データの渡し方にすれ違いがあり、何度も再提出をお願いされた
  • コーディングできないデザインだと言われた
  • デザインが足りないと言われた
  • 思ってた表示と違う……

逆もまたしかりで、コーダーさんからはデザイナーさんとのやり取りが本当に大変で……とお伺いします。
私は両方ひとりで行いますので、双方のお気持ちはそれぞれわかります。

ただ、これらの原因の多くは、コミュニケーションの不足ーーもう少し、“お互いにお互いの仕事を知る”事によって歩み寄っていただけたらなぁとお話を伺いながら考えています。

デザイナーもコーダーも、根幹には“クライアントさんから評価され、ユーザーにとっては魅力ある使いやすいWebサイトに”という気持ちがあるはずです。

コーディングができないのであれば、コーダーさんの目の前でラフを書きながら試行錯誤する時間を取ることができる、“人間関係”を構築しておくとデザイナーさんの不安は軽減されるかもしれません。

デザイナーさんに不足を伝える際は、「このような方法も」と提案するカードをコーダーさんが用意しておくとまた違った発想のデザインを考え、より良いデザインへ変更することが可能になると思います。

デザイナーとコーダー、どちらにとっても“そろって初めてひとつのWebサイトが作ることができる”必要不可欠な存在です。
クライアントさんからの依頼はどのような形で舞い込んでくるか想像もつかないので……私もあらかじめ他業種についてもっと予備知識を蓄え、いざ案件!の際には「大変だったけれどあなたと仕事できて本当に良かった」と言い合える“パートナーさん”と仕事がしたいですね!

さいごに

セキュリティに関してはとにかく備えておいて損はありません。
ツールがあれば誰もがクリエイターになれる時代……それ故のリスクが新たに増えたことはどの界隈にも言えることだと私は考えています。
ツールが豊かになると、人間の仕事はより人間の深みの部分を担当していくことになるのかも、しれません。